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家主業をやってますと、いろんな人々の人生を垣間見ます。
今日は..とある家族のお話し。
とある家族..は、うちのマンションの2DKに、
母・長男(18歳)・長女(15歳)・ババ..の4人家族でお住まいです。
この家のご長男さんは..重度の知的障害をもってられて、施設通いです。
本当は、施設に入所させたいらしいんですけど、
"諸般の事情"で..通いだそうです.. >ババ談
私も何度か、通園バスから逃げまくるご長男さんを、
"拉致"して車内に放り込むお手伝いをしました (^^;
「施設送りにしたい!」 ←ここだけ受け取ると、
なんて血も涙も..家族の絆も無いんだ!と思われるかもしれませんが、
そんな上辺だけの生半可なセリフは、
知的障害者を家族に持ったことのない連中の..言うセリフであって、
当事者は、日々..ご長男さんと格闘されております。
18歳のご長男、身長160cm..体重80kg。
なかなかの体格な青年が、物事の分別も無しに、
突然..モノを持って暴れたら、どうしますか?
実際のところ、この1年間でババは、
4回ほど..救急車で病院送りとなっております。
その結果、ババさんの体は、いたるところ..アザだらけ。
お顔も..幽霊みたく腫れ上がっている日もありました。
暴力は、ババだけに向けられるのではありません。
3歳年下の妹くんにも、ソレは、容赦なく向けられるのでした。
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昨年の年末..
..大阪には珍しく雪が積もった寒い日です。
いつものごとく.."深夜"の巡回メンテナンスをしていると、
妹さんが、部屋のドアの前に座り込んで、
ガタガタ震えながら、参考書を読んでます。
私「お母さんにでも、叱られたの?」
妹「・・・・」
私「こんな暗いところで..本なんか読んだら、目を悪ぅするでぇ〜」
妹「・・・・」
..彼女は、無言のまま..微笑むだけでした。
帰りに、管理人室に寄ると..管理人が
管「最近..ヒドなってるねん..例のご長男さんの家庭内暴力..」
私「困ったなぁ..健常者が相手なら、ワシが..(▼▼メ)/オリャして終わりやけど、
彼の場合は、方法を間違えると、何かと大変やからなぁ..」
管「あんな状況やから、妹さんも..大変な時やのに..ほんとたまらんでぇ」
私「は? 大変な時?」
管「受験やんか!高校受験!」
私「あぁ..あの子..もぉそんなお年頃かぁ..」
管「長男が暴れ出すと、ケガさせられるし、おちおち受験勉強もでけへんから、
部屋の外で勉強しているみたいやで..」
私「部屋の外?..このクソ寒い日にか!? あっ! Σ( ̄□ ̄;) 」
..そうです。さきほど廊下で出会った..妹くんの姿。
それは、お母さんに叱られて、廊下に出されたのじゃなくて、
長男が暴れ出したので、廊下で待避しながら受験勉強していたのです。
管「長男は生まれつきの■■やけど、 ※差別用語なので割愛 (^◇^;)
その下の妹くんは..生まれつきの天才なんやでぇ!」
私「へぇ..賢いんだぁ..」
管「進学校へ受験するみたいよぉ..」
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数日後..
顔中アザだらけのババが、巡回にやってきた私を見つけ、
ワラワラと歩み寄ってきました。
婆「家主さんに..お願いがあるけ」
私「お願い?」
婆「うちの隣の空室..貸してけろ」
私「貸すのはやぶさかではないねぇ。
家賃..くれるの人は、みんなお客さんやからな」
婆「やっぱ..家賃いるのか?」
私「....ヾ(・・;)ォィォィ うちは、ボランティアで家主業やってんのとちゃうで!」
婆「孫娘の..勉強部屋がいるんじゃ!
せめて..3月の末まで..使わせてくれぇ(ー人ー) 」
私「拝むのは、ヤメてんか!ワシ..仏さんちゃうしぃ〜
拝まれても、家賃もらわな..タダでは貸せんぞなぁ ┐('〜‘;)┌ 」
婆「・・・・・」
..彼女が恥を忍んで..
そんなこと懇願した理由なんて、知ってます。
でも、家主さんの立場では、入居者はみんな平等に扱わなければなりません。
どんな事情があろうとも..エコヒイキはいかんのです。
今、こうして会話している内容も、入居者の誰が聞いているやわかりません。
通り一遍のことしか..返答できんのじゃ!
婆「どぉしても無理か?」
私「無理なことは無いよ! 家賃さえくれればな..」
婆 (´・ω・`)ショボーン
家主業..こんな時、嫌になります。
..まだ、家賃滞納の奴を追いかけ回している方が、よほど..気が楽です。
私「ワシな.. 空室の戸締まりするの..よぉ忘れるねんなぁ..」
婆「???」
私「そんな部屋に限って、ホコリが積もって汚れていたりするんだよなぁ」
婆「???」
私「家主さんの前に、人間やから..物忘れもするんや..
最近、特にヒドイわなぁ〜」
婆「もぉ..ボケなさったか?」
私「さぁ〜てぇ..全部の空室の戸締まりしなきゃなぁ..」
..そう言いながら、彼女の隣室の戸締まりをせず..マンションを後にしました。
翌日、戸締まりを"忘れた"部屋の..電気の開線を、関西電力に申し込みました。
名義は、当然のごとく..家主さんです。
電気が使えなきゃ、夜のお勉強に困るでしょうしぃ
クソ寒い日が続くのに、電気ストーブのひとつも..使いたいだろうし..。
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数ヶ月が経ち、桜の花も満開の頃。
相変わらず例の家族の隣室は、空室です。
そりゃそぉ〜だ!
..賃貸屋にバラまく空室資料に載ってないもん (爆)
ええ.."忘れて"ましたよぉ〜
学校の春休みが終わった頃..それに気づきましたから (-。-)y-~~~
一応..、空室の状態を確認するために、例の部屋を見に行きました。
完璧です!チリひとつ落ちてません d(vv;
5ヶ月近くも、放置していたのに..
わけわからんほど.キレイです (笑)
毎月送られてくる電気代金の請求書をみていると、
妹さんの..日々の努力が数字で見えて..なかなかの金額です (/_;)
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つい先日、いつものごとく"昼間"の巡回をしていると、
真新しい制服を着た..妹さんが、駆け寄ってきました。
妹「ありがとうございました」
私「ん?何が?」
妹「あのぉ..部屋のこと..」
私「さぁ〜..なんのことやら..私には.. (^^; 」
妹「おかげさまで、8尾高校に合格しました。」
私「え!..8尾高?! マジ? ヘ(^^ヘ)(ノ^^)ノ 」
..彼女、私のはるか後の..後輩になってしまいました (笑)
私「おっちゃんな..そこの36.5期やねん!」
妹「あのぉ..なんで中途半端な"期"んなんですか?」
私「それは..話せば長くなるから.. (^^;
そかそか、それは..おめでとう! 」
妹「ありがとうございます。」
私「わし..そこで4年間..ワースト3を死守したけど、
あんたは、ベスト3を狙いや!」
妹「ガンバリますぅ〜」
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家賃ため込む奴は、かなわんけど..
..こんなウレシイこともあるから、家主業やってられます。
例のご長男さんの暴力も、比較的マシになってきたようです。
隣室で勉強した形跡が、最近..ありません。
さてと..ぼちぼち...入居者募集するかぁ〜
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